OpenVPNとは
OpenVPNは、インターネットやLAN上に仮想的なプライベートネットワーク(VPN)を構築するためのソフトウェアです。 VPNを構築することにより、インターネット上であってもデータを安全にやり取りしたり、社外から社内のサーバーにアクセスできるようにすることもできます。オープンソースで、SSL/TLSをベースにした認証機構及び通信路暗号化を用いることで、セキュアに通信路を構築することが可能です。ん~、便利。 ちなみに、OpenVPNでは、SSL/TLSトンネルをサーバ/クライアント間で接続して通信します。トンネルについての解説は、トンネル接続って何だべ?の記事を見てくださいね♪
クライアント側
クライアントにLinuxを使用する場合は、サーバと一緒。今回は、Windowsを使用するので、OpenVPN GUI for Windows 日本語版を使用します。インストール手順はこちらでね。
暗号鍵を作成
OpenVPNインストール時、大体/usr/share/openvpn等のどこかに、easy-rsaというフォルダがあります。この中に、暗号鍵作成ツールが入っております。そのフォルダ内で、ツールを実行!
CA局を作成
# source ./vars # clean-all # build-ca Generating a 1024 bit RSA private key ............++++++ ...........++++++ writing new private key to 'ca.key' ----- You are about to be asked to enter information that will be incorporated into your certificate request. What you are about to enter is what is called a Distinguished Name or a DN. There are quite a few fields but you can leave some blank For some fields there will be a default value, If you enter '.', the field will be left blank. ----- Country Name (2 letter code) [KG]: State or Province Name (full name) [NA]: Locality Name (eg, city) [BISHKEK]: Organization Name (eg, company) [OpenVPN-TEST]: Organizational Unit Name (eg, section) []: Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:OpenVPN-CA Email Address [me@myhost.mydomain]:
なんでも、好きなもの、識別できるものを入れておくとよいでしょう
サーバ暗号鍵の作成
続いて、サーバ暗号鍵を作成します。
# build-key-server server
CA局と同じように聞かれていきますが、識別可能な奴を入れていってくださいね。んで、「Sign the certificate?(証明書に署名しますか?) [y/n]」と「1 out of 1 certificate requests certified, commit?(1つの証明書要求がありますが、コミットしますか?) [y/n]」という2つの質問が出ますが、両方にYesと答えてやって。
クライアント暗号鍵の作成
クライアント鍵の作成は、
# build-key クライアント名
暗号鍵をパスワード保護したい場合は、
# build-key-pass クライアント名
同じようにいろいろ聞かれますが、同じように識別可能な奴を入れていってやって…で、これは接続したいクライアント数分、クライアント名を変更してコマンドを実施します。
鍵をコピー
そうすると、keysサブディレクトリ配下に、以下があるはず。
ca.crt ca.key dh1024.pem クライアント名.crt クライアント名.csr クライアント名.key server.crt server.csr server.key ta.key
で、これらのうち、ca.crt(CA証明書),クライアント名.crt,クライアント名.csr(クライアント証明書),クライアント名.key(クライアント秘密鍵),ta.key(HMAC認証用共有鍵)をコピーして、Windows側に持ってってあげます。くれぐれも、漏えいしたりしないように気をつけつつ…
サーバ側
/usr/share/doc/openvpn-XXX/examples/sample-config-files/ディレクトリに、設定ファイルのサンプルがあります。こちらを利用しましょう。 サーバ側ですので、この下にあるserver.conf.bz2を、/etc/openvpn配下に、openvpn.confという名称で、解凍&コピーします。この中で、特に必要な項目を…
- port
- openvpnで通信するポートを指定します(クライアント側と合わせる)
- proto
- tcpか、udpかを指定します。(クライアント側と合わせる)
- ca
- ここの暗号鍵作成で作成する、ca.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。
- cert
- ここの暗号鍵作成で作成する、server.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。
- key
- ここの暗号鍵作成で作成する、server.keyを設定します。フルパスで書くのが安心。
- dh
- ここの暗号鍵作成で作成する、dh1024.pemを設定します。
- push
- 接続してきたクライアントに自動設定するパラメータを指定する。例えばルーティングテーブル。接続してできたデバイスに対して、通信先NWのルーティング(上の例なら172.21.0.0/16向けのルーティング)を設定するとか、クライアントに参照させたいDNSサーバのアドレスとか。
クライアント側
Windowsだと、c:\Program Files(64ビット版の場合は、c:\Program Files (x86))\OpenVPN\sample-configに、サンプル設定ファイルがあります。この中のclient.ovpnをコピーして、c:\Program Files(64ビット版の場合は、c:\Program Files (x86))\OpenVPN\configに置きます。そしてこのファイルを編集しますが…注意!Windows7や、Windows Vistaは、管理者モードでないと変更セーブされませんので…気をつけてね。私は、個人のフォルダにコピーして、変更してからconfigフォルダに管理者モードでコピーしました。
- proto
- tcpか、udpかを指定します。(サーバ側と合わせる)
- remote
- 接続先のサーバ名と、ポート(サーバ側のport項で指定した値)を指定する。
- ca
- ここの暗号鍵作成で作成する、ca.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。
- cert
- ここの暗号鍵作成で作成する、クライアント名.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。
- key
- ここの暗号鍵作成で作成する、クライアント名.keyを設定します。フルパスで書くのが安心。 Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。
ブロードバンドルータ側の設定
普通は、ブロードバンドルータで、ポートを閉じていると思います。ブロードバンドルータ側で、openvpnを受け付けているプロトコル、ポートを、openvpnサーバ側に向けてあげる変換テーブルを設定してあげましょう。
OpenVPNを設定してみよう(TUNモード)

TUNモードは、ルーティングモードです。VPNのネットワークは、通信する先のネットワークとは別のサブネットマスクになります。OpenVPNの設定は楽なんだけど、ルーティングの設定が難しいんだよね…
サーバ側
先ほどのopenvpn.confの項目で、以下の項目を設定するですよ。
- dev
- tunを指定します。
- server
- サーバモードで設定する、openvpn空間でのネットワークアドレスを指定します。通信先ネットワーク内で使用しているIPとは、かぶらないIPアドレスにする。例えば、通信先のNW空間が、仮に172.21.0.0/16ならば、openvpn空間のNWは、172.22.0.0/16とかね。
ブロードバンドルータ等
基本は、デフォルトゲートウェイにブロードバンドルータを指定している事でしょう。このデフォルトゲートウェイに、OpenVPNクライアントのアドレスはOpenVPNサーバにルーティングしてあげるルーティングテーブルを追加します。
OpenVPNを設定してみよう(TAPモード)

TAPモードは、アクセス先ネットワークとクライアントが同じサブネットとなります。TAPインタフェースの設定がめんどくさいんだけど、ルーティングなんかは設定しなくていいから楽なんだよね。ただ、アクセスコントロールをしたいときは難しいですわ。
こちらで設定した場合の方が、NW通信は早いみたい。
サーバ側
- dev
- tap指定ね。特に、TAPデバイスを作成している場合は、そのままデバイス名(例えばtap0等)を指定すると良い
- server-bridge
- TAPの場合はこちら。ブリッジIFのアドレス、ネットマスク、クライアントに付与するアドレスの範囲を指定。ちなみに、何もオプションを指定しない場合は、DHCPProxyモードになります。向こう側のネットワークにDHCPサーバとかいる場合は、そちらのDHCPにNW設定をお任せできます。
ブリッジインタフェースを作成する
/etc/conf.d/netをこんな感じで設定。
config_br0=("br0に振るIPアドレス") routes_br0=( "default via ゲートウェイアドレス" ) #eth0にはアドレス付与しない config_eth0=( "null" ) #tap0はTAPモードで動かす tuntap_tap0="tap" #tap0にはアドレス付与しない config_tap0=("null") #eth0とtap0をブリッジする bridge_br0="eth0 tap0" #net.eth0とnet.tap0を実行してからbr0を動かす #また、NW設定の一番頭で動かす。 depend_br0() { need net.eth0 net.tap0 before net }
さらに、/etc/init.dに移って
ln -sfn net.lo net.br0 ln -sfn net.lo net.tap0
さらにさらに、初期設定で自動起動するように、
rc-update add net.br0 default
接続確認
サーバ側で、openvpnを起動してみます。
# /etc/init.d/openvpn start
クライアント側で、openvpnクライアントを起動してみましょう。ちなみに、私はブロードバンドルータの外側から接続を試してみてます。うちのプロバイダは、DHCPでクライアントへのアドレス払い出しが5つまでOKなので♪でないと試験の意味がないからね。openvpnGUIのコンテキストメニューから、『接続』を選択。さて、うまくコネクトできるでしょうか…クライアント側でログが出ますから、確認できるでしょう…ちなみに、私は、protoをTCPにしないとだめでした。ブロードバンドルーターとかいろいろあるのかしら…
OpenVPNの設定
OpenVPNの設定で、以下を追加すると、暗号強度が増しますよ。
- tls-auth
- TLSによる暗号化をプラスする場合、使用する。暗号強度が上がる。ここの暗号鍵作成で作成する、ta.keyを書いて、第2パラメータに0を指定。サーバで指定したら、クライアント側にも必要
- cipher
- 暗号化アルゴリズムを指定します。サーバ、クライアントにて設定を合わせます
- user,group
- Windowsではない場合、openvpnが動作するユーザ、グループ権限が指定できる。root以外にすれば、セキュリティは向上するよね。
鍵長を変えてみる
/usr/share/openvpn/easy-rsaの下に、varsというファイルがあります。こいつの
export KEY_SIZE=2048
にすると、2048bitの鍵長になり、SSLキー自体の暗号強度が上がりますよ。デフォルトは1024bit長ね
apache側
SSL等のListenポートをずらしてやります。apacheの設定ファイルを開いて
#Listen 443 Listen 444 #<VirtualHost _default_:443> <VirtualHost _default_:444>
等ね。で、再起動
OpenVPN側
port-shareってオプションを使用します。これを行うと、httpのプロトコルを、shareしたアドレス、ポートに転送してくれます。サーバ側のopenvpn.confを開いて
port 443 port-share 127.0.0.1 444
として再起動。 こうすると、httpは127.0.0.1のポート444に転送してくれて、VPN接続も443で実行できるってわけです。便利ねー
通信パケットの圧縮
通信時に、データパケットを通信元で圧縮し、通信先で解凍すると、通信回線の速さよりもCPUが勝っていれば、通信速度が向上します。 クライアント、サーバ側にcomp-lzoオプションを追加してやって。
インタフェースのMTU長
MTU長とは、IPパケット上に載せられるデータサイズの事。ふつーのEthernetは、1500バイトです。これを超えたデータを転送しようとするとパケットを分割しようとします。これをフラグメントと言いますが、ものすごく転送速度が落ちます。
さて、このVPN、IPトンネルを使用します。IPトンネルもEthernetと同じくデバイスに見えます。このデバイスに入ったパケットは、IPヘッダをつけて、さらにEthernetの1500バイトのIPデータに変換されます。分かりました?IPトンネルは、余計にくっつけるヘッダサイズ分、MTU長が小さくなるのです。なので、これを調整してやると、飛躍的に転送速度が上がります。
tun-mtu 1280 mssfix 1280 fragment 1280
こんなオプションを、サーバ側、クライアント側の設定ファイルに追加すると…うちでは転送速度が2倍に向上したよ。fragmentはproto udpの時のみ有効です~。
ゲートウェイのブロードバンドルータレベルで、約100Mbyteほどの転送速度。で、設定前と設定後で、100Mbyte程度のデータをVPN経由して転送してみました。
- 設定前
- 2.5Mbyte/sec=約20Mbps
- 設定後
- 5.2Mbyte/sec=約41Mbps
- さらにTAPモードにすると
- 6.9Mbyte/sec=約55Mbps これは劇的な変化でしょ!!TAPモードにするとルーティングしない分、さらに早いみたいです。
BitLocker to Go
Windows側のVPNクライアントを見ていると、USBのアクセスキーを差し込まないとVPN接続できないようなもの、ありますよね。あれにチャレンジしてみます。
うちのdv3500君は、SDカードスロットを持っています。うちに1GbyteのSDカードがありました。こいつを暗号化して、これにさっきのクライアント暗号化キーをぶっこんでおけば…そいつがないとVPN接続できないし、安心ですね。
Windows7 Ultimateには、BitLockerというドライブ暗号化ツールが入っています。コントロールパネルから、BitLockerドライブ暗号化を選択します。SDカードを差し込むと、BitLocker to Goというメニューが出てきます。こいつでTPMデバイスを使用しない、パスワード認証を選択すると、SDカード差し込み時にパスワードを問い合わせてくる暗号化ドライブになります。これを選択。暗号化。
そして、出来上がった暗号化ドライブに、暗号キーを放り込んで、クライアント側OpenVPNのコンフィグファイルに、キーのパス(SDカードドライブを含むフルパス)を記述しておきます。こーすると、アクセスの手順がこうなります。
- SDカードスロットに暗号キーを差し込む
- SD暗号キーのパスワード認証(BitLocker側)
- OpenVPN GUIで『接続』を選択
- クライアント暗号キーのパスフレーズ入力(パスフレーズ付きのクライアントキー認証)
- サーバと接続確立
- あとはおうちで使用するのと同じように、サーバにSSHやら、共有ドライブアクセスやら、IMAP使用したりできる
うっふっふ♪こいつぁ便利な上に、SDカードとセットでないとアクセスできない。SDキーをなくしても、暗号化されている上に何のキーかわからないから、安心ってわけね。
Page Info | |
---|---|
Page Name : | Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む |
Page aliases : | None |
Page owner : | maruo |
Can Read | |
Groups : | All visitors |
Users : | All visitors |
Can Edit | |
Groups : | No one |
Users : | No one |