*OpenVPNとは [#z114c7fe] [[OpenVPN:http://www.openvpn.jp/]]は、インターネットやLAN上に仮想的なプライベートネットワーク(VPN)を構築するためのソフトウェアです。 VPNを構築することにより、インターネット上であってもデータを安全にやり取りしたり、社外から社内のサーバーにアクセスできるようにすることもできます。オープンソースで、SSL/TLSをベースにした認証機構及び通信路暗号化を用いることで、セキュアに通信路を構築することが可能です。ん~、便利。 ちなみに、OpenVPNでは、SSL/TLSトンネルをサーバ/クライアント間で接続して通信します。トンネルについての解説は、[[トンネル接続って何だべ?の記事>自宅鯖計画/トンネル接続って何だべ?]]を見てくださいね♪ *OpenVPNをインストールしてみよう [#rbce4c45] **サーバ側 [#yc5d946a] サーバ側には24時間稼働している、Linuxサーバ君にインストールします。 # emerge -vuD openvpn おしまい。 **クライアント側 [#v7b79b03] クライアントにLinuxを使用する場合は、サーバと一緒。今回は、Windowsを使用するので、[[OpenVPN GUI for Windows 日本語版:http://www.openvpn.jp/bridging/5.html]]を使用します。インストール手順は[[こちら:http://www.openvpn.jp/guiuse.html]]でね。 *暗号鍵を作成 [#y9606253] OpenVPNインストール時、大体/usr/share/openvpn等のどこかに、easy-rsaというフォルダがあります。この中に、暗号鍵作成ツールが入っております。そのフォルダ内で、ツールを実行! **CA局を作成 [#naf18717] # source ./vars # clean-all # build-ca Generating a 1024 bit RSA private key ............++++++ ...........++++++ writing new private key to 'ca.key' ----- You are about to be asked to enter information that will be incorporated into your certificate request. What you are about to enter is what is called a Distinguished Name or a DN. There are quite a few fields but you can leave some blank For some fields there will be a default value, If you enter '.', the field will be left blank. ----- Country Name (2 letter code) [KG]: State or Province Name (full name) [NA]: Locality Name (eg, city) [BISHKEK]: Organization Name (eg, company) [OpenVPN-TEST]: Organizational Unit Name (eg, section) []: Common Name (eg, your name or your server's hostname) []:OpenVPN-CA Email Address [me@myhost.mydomain]: なんでも、好きなもの、識別できるものを入れておくとよいでしょう~ **サーバ暗号鍵の作成 [#t6a2d753] 続いて、サーバ暗号鍵を作成します。 # build-key-server server CA局と同じように聞かれていきますが、識別可能な奴を入れていってくださいね。んで、「Sign the certificate?(証明書に署名しますか?) [y/n]」と「1 out of 1 certificate requests certified, commit?(1つの証明書要求がありますが、コミットしますか?) [y/n]」という2つの質問が出ますが、両方にYesと答えてやって。 **クライアント暗号鍵の作成 [#vd6c624e] クライアント鍵の作成は、 # build-key クライアント名 暗号鍵をパスワード保護したい場合は、 # build-key-pass クライアント名 同じようにいろいろ聞かれますが、同じように識別可能な奴を入れていってやって…で、これは接続したいクライアント数分、クライアント名を変更してコマンドを実施します。 **Diffie hellmanパラメータ作成 [#g9b2984e] # build-dh 少々お待ちくださいね… **TLSのHMAC認証用共有鍵作成 [#h77443fa] 別に作成しなくてもよいのですが、後で述べる暗号強度を強める設定を行う場合は、共有鍵を作成します。 openvpn --genkey --secret ta.key **鍵をコピー [#q123c922] そうすると、keysサブディレクトリ配下に、以下があるはず。 ca.crt ca.key dh1024.pem クライアント名.crt クライアント名.csr クライアント名.key server.crt server.csr server.key ta.key で、これらのうち、ca.crt(CA証明書),クライアント名.crt,クライアント名.csr(クライアント証明書),クライアント名.key(クライアント秘密鍵),ta.key(HMAC認証用共有鍵)をコピーして、Windows側に持ってってあげます。くれぐれも、漏えいしたりしないように気をつけつつ… *OpenVPNを設定してみよう(共通設定) [#tffcb460] OpenVPNは、TUN/TAPの2種類の設定モードがありますが、まずは共通で設定できるものからね。 **サーバ側 [#aa7ab458] /usr/share/doc/openvpn-XXX/examples/sample-config-files/ディレクトリに、設定ファイルのサンプルがあります。こちらを利用しましょう。 サーバ側ですので、この下にあるserver.conf.bz2を、/etc/openvpn配下に、openvpn.confという名称で、解凍&コピーします。この中で、特に必要な項目を… :port|openvpnで通信するポートを指定します(クライアント側と合わせる) :proto|tcpか、udpかを指定します。(クライアント側と合わせる) :ca|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、ca.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。 :cert|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、server.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。 :key|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、server.keyを設定します。フルパスで書くのが安心。 :dh|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、dh1024.pemを設定します。 :push|接続してきたクライアントに自動設定するパラメータを指定する。例えばルーティングテーブル。接続してできたデバイスに対して、通信先NWのルーティング(上の例なら172.21.0.0/16向けのルーティング)を設定するとか、クライアントに参照させたいDNSサーバのアドレスとか。 **クライアント側 [#l2cb0b98] Windowsだと、c:\Program Files(64ビット版の場合は、c:\Program Files (x86))\OpenVPN\sample-configに、サンプル設定ファイルがあります。この中のclient.ovpnをコピーして、c:\Program Files(64ビット版の場合は、c:\Program Files (x86))\OpenVPN\configに置きます。そしてこのファイルを編集しますが…注意!Windows7や、Windows Vistaは、管理者モードでないと変更セーブされませんので…気をつけてね。私は、個人のフォルダにコピーして、変更してからconfigフォルダに管理者モードでコピーしました。 :proto|tcpか、udpかを指定します。(サーバ側と合わせる) :remote|接続先のサーバ名と、ポート(サーバ側のport項で指定した値)を指定する。 :ca|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、ca.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。 :cert|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、クライアント名.crtを指定します。フルパスで書くのが安心。Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。 :key|[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、クライアント名.keyを設定します。フルパスで書くのが安心。 Windowsは、ファイルパスに\を使用しますが、OpenVPNは、\の指定は\\ですので、注意。 **ブロードバンドルータ側の設定 [#ef9f4faa] 普通は、ブロードバンドルータで、ポートを閉じていると思います。ブロードバンドルータ側で、openvpnを受け付けているプロトコル、ポートを、openvpnサーバ側に向けてあげる変換テーブルを設定してあげましょう。 **Linuxサーバの設定 [#j3c08a4b] ***Sysctl [#bc5bca59] Sysctlの、ip_forwardをONにします。 # echo "1" > /proc/sys/net/ipv4/ip_forward *OpenVPNを設定してみよう(TUNモード) [#gcb1e883] #ref(TUN.jpg,around,right) TUNモードは、ルーティングモードです。VPNのネットワークは、通信する先のネットワークとは別のサブネットマスクになります。OpenVPNの設定は楽なんだけど、ルーティングの設定が難しいんだよね… #clear **サーバ側 [#ubdd8bbb] 先ほどのopenvpn.confの項目で、以下の項目を設定するですよ。 :dev|tunを指定します。 :server|サーバモードで設定する、openvpn空間でのネットワークアドレスを指定します。通信先ネットワーク内で使用しているIPとは、かぶらないIPアドレスにする。例えば、通信先のNW空間が、仮に172.21.0.0/16ならば、openvpn空間のNWは、172.22.0.0/16とかね。 **クライアント側 [#ebfbd9a9] 先ほどのclient.ovpnの、以下の項目を編集します。 :dev|tunを指定します。 **その他の設定 [#zecd28f8] ***iptables等 [#n39f0623] iptablesを指定している場合は、openvpn用のNWアドレスを通過する設定をしないといけません ***各種サーバ [#r9e58f78] openvpn用のNWアドレスからのリクエストを受け付けるようにしましょう ***ブロードバンドルータ等 [#deab2c18] 基本は、デフォルトゲートウェイにブロードバンドルータを指定している事でしょう。このデフォルトゲートウェイに、OpenVPNクライアントのアドレスはOpenVPNサーバにルーティングしてあげるルーティングテーブルを追加します。 *OpenVPNを設定してみよう(TAPモード) [#l984cd92] #ref(TAP.jpg,around,right) TAPモードは、アクセス先ネットワークとクライアントが同じアドレスとなります。TAPインタフェースの設定がめんどくさいんだけど、ルーティングなんかは設定しなくていいから楽なんだよね。ただ、アクセスコントロールをしたいときは難しいですわ。 #clear **サーバ側 [#aa08ed07] :dev|tap指定ね。 :server-bridge|TAPの場合はこちら。ブリッジIFのアドレス、ネットマスク、クライアントに付与するアドレスの範囲を指定。 **クライアント側 [#f5343d4c] :dev|tap指定ね。 **OpenVPNのサーバ [#c272a946] ブリッジ設定を追加してやります。 ***bridge-utilsのインストール [#t84c78b8] emerge bridge-utils ***ブリッジインタフェースを作成する [#o6c2ed73] /etc/conf.d/netをこんな感じで設定。 config_br0=("br0に振るIPアドレス") routes_br0=( "default via ゲートウェイアドレス" ) #eth0にはアドレス付与しない config_eth0=( "null" ) #tun0はTAPモードで動かす tuntap_tun0="tap" #tun0にはアドレス付与しない config_tun0=("null") #eth0とtun0をブリッジする bridge_br0="eth0 tun0" #net.eth0とnet.tun0を実行してからbr0を動かす depend_br0() { need net.eth0 net.tun0 } さらに、/etc/init.dに移って ln -sfn net.lo net.br0 ln -sfn net.lo net.tun0 さらにさらに、初期設定で自動起動するように、 rc-update add net.br0 default *接続確認 [#c07b1bf1] サーバ側で、openvpnを起動してみます。 # /etc/init.d/openvpn start クライアント側で、openvpnクライアントを起動してみましょう。ちなみに、私はブロードバンドルータの外側から接続を試してみてます。うちのプロバイダは、DHCPでクライアントへのアドレス払い出しが5つまでOKなので♪でないと試験の意味がないからね。openvpnGUIのコンテキストメニューから、『接続』を選択。さて、うまくコネクトできるでしょうか…クライアント側でログが出ますから、確認できるでしょう…ちなみに、私は、protoをTCPにしないとだめでした。ブロードバンドルーターとかいろいろあるのかしら… *もう一工夫 [#z3477833] **暗号化強度を上げてみる [#r6a3b622] ***OpenVPNの設定 [#lf755405] OpenVPNの設定で、以下を追加すると、暗号強度が増しますよ。 :tls-auth|TLSによる暗号化をプラスする場合、使用する。暗号強度が上がる。[[ここの暗号鍵作成>Gentoo Linuxな生活/OpenVPNで悩む#y9606253]]で作成する、ta.keyを書いて、第2パラメータに0を指定。サーバで指定したら、クライアント側にも必要 :cipher|暗号化アルゴリズムを指定します。サーバ、クライアントにて設定を合わせます :user,group|Windowsではない場合、openvpnが動作するユーザ、グループ権限が指定できる。root以外にすれば、セキュリティは向上するよね。 ***鍵長を変えてみる [#scca189d] /usr/share/openvpn/easy-rsaの下に、varsというファイルがあります。こいつの export KEY_SIZE=2048 にすると、2048bitの鍵長になり、SSLキー自体の暗号強度が上がりますよ。デフォルトは1024bit長ね **SSL等とポートを共有する [#x83a0432] 例えば、apacheサーバ等の暗号化ポート(https:443番)を、OpenVPN用ポートと共有するってことを考えてみます。 ***apache側 [#y1caed41] SSL等のListenポートをずらしてやります。apacheの設定ファイルを開いて #Listen 443 Listen 444 #<VirtualHost _default_:443> <VirtualHost _default_:444> 等ね。で、再起動 ***OpenVPN側 [#dc29ad6e] port-shareってオプションを使用します。これを行うと、httpのプロトコルを、shareしたアドレス、ポートに転送してくれます。サーバ側のopenvpn.confを開いて port 443 port-share 127.0.0.1 444 として再起動。 こうすると、127.0.0.1のポート444に転送してくれるんですよ。httpを。 **BitLocker to Go [#j8f352de] Windows側のVPNクライアントを見ていると、USBのアクセスキーを差し込まないとVPN接続できないようなもの、ありますよね。あれにチャレンジしてみます。 うちのdv3500君は、SDカードスロットを持っています。うちに1GbyteのSDカードがありました。こいつを暗号化して、これにさっきのクライアント暗号化キーをぶっこんでおけば…そいつがないとVPN接続できないし、安心ですね。~ Windows7 Ultimateには、BitLockerというドライブ暗号化ツールが入っています。コントロールパネルから、BitLockerドライブ暗号化を選択します。SDカードを差し込むと、BitLocker to Goというメニューが出てきます。こいつでTPMデバイスを使用しない、パスワード認証を選択すると、SDカード差し込み時にパスワードを問い合わせてくる暗号化ドライブになります。これを選択。暗号化。 そして、出来上がった暗号化ドライブに、暗号キーを放り込んで、クライアント側OpenVPNのコンフィグファイルに、キーのパス(SDカードドライブを含むフルパス)を記述しておきます。こーすると、アクセスの手順がこうなります。 +SDカードスロットに暗号キーを差し込む +SD暗号キーのパスワード認証(BitLocker側) +OpenVPN GUIで『接続』を選択 +クライアント暗号キーのパスフレーズ入力(パスフレーズ付きのクライアントキー認証) +サーバと接続確立 +あとはおうちで使用するのと同じように、サーバにSSHやら、共有ドライブアクセスやら、IMAP使用したりできる うっふっふ♪こいつぁ便利な上に、SDカードとセットでないとアクセスできない。SDキーをなくしても、暗号化されている上に何のキーかわからないから、安心ってわけね。