*違うバージョンのPHPを動かしたい! [#gbb6f519] Webアプリを運用していると、開発が活発なアプリ、あまり更新されないアプリで、動作要件が変わってきたりします。特に大きいのは、Webアプリを動作させる肝となる、シェル言語のバージョン。で、軽量なWebアプリでメジャーな言語はPHP。このPHPって曲者で。バージョンアップでかなり言語仕様が変わります。なもので…最近PHP5じゃないと動かないアプリと、PHP5のサポートを終了させようとしているアプリが入り乱れてきました。なもので、古いアプリはPHP5、新しいアプリはPHP7で動かす環境を作らないといけなくなってまいりました。でも、Webサーバ(Apacheやnginx等)を複数動かすのはとてもうれしくない。なので、Apache一つで、Webアプリによって動作させるPHPを分けて見るようにします。 では、行ってみましょう *どうやって複数バージョンのPHPを共有させるか [#z9e52729] ApacheでPHPで記述されたWebアプリを駆動するには、以下の手順が使えます。 +モジュール +CGI +FastCGI モジュールの場合は、mod_phpを用いて、Apacheのプロセス内でPHPの処理を実行します。 CGIは、Apacheから、HTTPリクエストがあるたびにPHPのプロセスを起動して、PHPスクリプトを実行します。 FastCGIは、PHPのプロセスを予め起動させておき、ApacheにHTTPリクエストが来るたびに、TCPもしくはUnix Dmain Socket経由で常駐PHPプロセスに処理をさせます。 この中で、GCI方式が最も重そうな方法であることはご理解いただけるかと。mod_phpが最もシンプルな方法なのですが、1つのバージョンしか使えない。なので、FastCGIで複数バージョンを同時駆動させる方法を採用することとします。 *準備 [#qde4619d] **PHPのビルド [#cc5b2304] -PHPのUSEフラグに"fpm"を追加します。 -make.confに以下の記述を追加します。 PHP_TARGETS="php5-6 php7-1" ここのPHP_TARGETSは、インストールしておきたいバージョンのPHPを列挙します。私はPHP5系の最新(php5-6)と、PHP7系の最新(php7-1)を書いておきます。 -emergeします。 おしまい。 **Apacheのビルド [#d89bb78e] -make.confのAPACHE2_MODULESに、"proxy proxy_fcgi"を追記します。 -emergeします。 おしまい。 *動作設定 [#k7d52dc6] モジュールによる起動は既にできていることとします。このため、FastCGIにて起動する方法を中心に記載します。 ApacheのFCGI Proxyモジュールを用いて、バックエンドのPHPと通信致します。 **Apache側 [#d3cc21d5] /etc/conf.d/apache2内のAPACHE2_OPTSに、以下の定義を追記します -D PHP -D PROXY **PHP側 [#x573b2c4] ***起動PHPの指定 [#p437996e] 今回は、以下の設定とします。 -FastCGIのデフォルトはPHP7.1 -さらにもう一つFastCGIのPHP5.6を駆動する 起動するバージョンを設定してやります。 # eselect php set fpm php7.1 さらに、普通に設定すると、FPM版PHPの起動シェルは1つしかありません。eselectで指定したバージョンを起動してくれます。ので、指定バージョンを起動するシェルを作ってあげます。 # cd /etc/init.d # cp php-fim php-fpm5.6 # vi php-fpm5.6 さて、このコピーしたphp-fpm5.6の頭にある以下の部分を修正します。 PHP_SLOT="${SVCNAME#php-fpm-}" ↓ PHP_SLOT="php5.6" eselectで指定するphpのバージョン名ね ***PHP7.1側の設定 [#ocf82257] /etc/php/fpm-php7.1/fpm.d/www.confを編集します。今回は、UNIXドメインソケットで通信出来るように設定します。以下の項を注意して設定します。 user = nobody # FPM版のPHPの起動ユーザ権限 group = nobody # FPM版のPHPの起動グループ権限 listen = /var/run/php-fpm/www.sock # 通信するポートを指定。ここではwww.sockというUNIXドメインソケットを指定 listen.owner = nobody # 上記ソケットのユーザ listen.group = nobody # 上記ソケットのグループ listen.mode = 0660 # 上記ソケットのアクセス権 特に起動ユーザ、グループ、ソケットのユーザ、グループ、アクセス権は注意して設定してくださいね。Apacheの起動ユーザ権限とソケットのアクセス権が合っていないと、「Permission Denied」と言われます。また、PHP-FPMの起動ユーザ、グループがWebアプリ側のアクセス権と合っていないと、PHP-FPM側は、Webアプリファイルにアクセス出来ないと言われます。apacheのerror_logをよく見ててくださいね~ ***PHP5.6側の設定 [#p36a6e48] /etc/php/fpm-php5.6/php-fpm.confを編集します。今回は、UNIXドメインソケットで通信出来るように設定します。以下の項を注意して設定します。 user = nobody # FPM版のPHPの起動ユーザ権限 group = nobody # FPM版のPHPの起動グループ権限 listen = /var/run/php-fpm/www5.6.sock # 通信するポートを指定。ここではwww5.6.sockというUNIXドメインソケットを指定 listen.owner = nobody # 上記ソケットのユーザ listen.group = nobody # 上記ソケットのグループ listen.mode = 0660 # 上記ソケットのアクセス権 7.1のときと設定の注意は変わりませんが、ポイントは、listen=で作るソケットの名称です。バージョン名で分けると。 **Apache側のFPM動作の設定 [#z07fdc4d] /etc/apache2/70_mod_php.confを以下のように記載。 <IfDefine PHP> <FilesMatch "\.php$"> SetHandler "proxy:unix:/var/run/php-fpm/www.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> # Set it to handle the files <IfModule mod_mime.c> AddHandler application/x-httpd-php .php .php5 .phtml AddHandler application/x-httpd-php-source .phps </IfModule> DirectoryIndex index.php index.phtml </IfDefine> 起動オプションにPHPが指定されていたら、拡張子.phpにマッチするファイルは、PHP-FPMのソケットに渡す、というエントリーです。 *プロセス起動 [#l625760f] ApacheとPHP-FPMを再起動します。 # /etc/init.d/apache2 restart # /etc/init.d/php-fpm restart # /etc/init.d/php-fpm5.6 restart *使用するPHPバージョンの宣言 [#y8d349fb] -古いバージョンで起動させたいWebアプリだけ、.htaccessで制御する と、言うことで、各Webアプリは、ディレクトリで別れて格納されいると仮定します。PHP5.6で動かしたいWebアプリが格納されているディレクトリのトップに、.htaccessを置き、以下の内容を追記します。 <IfDefine PHP> <FilesMatch "\.php$"> SetHandler "proxy:unix:/var/run/php-fpm/www5.6.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> DirectoryIndex index.php index.phtml </IfDefine> .htaccessは、置かれたディレクトリ配下のアクセス条件に上書きされるので、このエントリーがある.htaccessがあるWebアプリはwww5.6.sockで通信される。PHP5.6で動く、という仕掛け。 もうおわかりかと思いますが。起動シェルをコピーして、ソケット名を分けていけば、いくつでもPHPが起動できると言うわけですね。 これで、PHPバージョンでアプリが動かなくなる悪夢から解放されそうです♪
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