Webアプリを運用していると、開発が活発なアプリ、あまり更新されないアプリで、動作要件が変わってきたりします。特に大きいのは、Webアプリを動作させる肝となる、シェル言語のバージョン。で、軽量なWebアプリでメジャーな言語はPHP。このPHPって曲者で。バージョンアップでかなり言語仕様が変わります。なもので…最近PHP5じゃないと動かないアプリと、PHP5のサポートを終了させようとしているアプリが入り乱れてきました。なもので、古いアプリはPHP5、新しいアプリはPHP7で動かす環境を作らないといけなくなってまいりました。でも、Webサーバ(Apacheやnginx等)を複数動かすのはとてもうれしくない。なので、Apache一つで、Webアプリによって動作させるPHPを分けて見るようにします。
では、行ってみましょう
ApacheでPHPで記述されたWebアプリを駆動するには、以下の手順が使えます。
モジュールの場合は、mod_phpを用いて、Apacheのプロセス内でPHPの処理を実行します。
CGIは、Apacheから、HTTPリクエストがあるたびにPHPのプロセスを起動して、PHPスクリプトを実行します。
FastCGIは、PHPのプロセスを予め起動させておき、ApacheにHTTPリクエストが来るたびに、TCPもしくはUnix Dmain Socket経由で常駐PHPプロセスに処理をさせます。
この中で、GCI方式が最も重そうな方法であることはご理解いただけるかと。mod_phpが最もシンプルな方法なのですが、1つのバージョンしか使えない。なので、FastCGIで複数バージョンを同時駆動させる方法を採用することとします。
PHP_TARGETS="php5-6 php7-1"
ここのPHP_TARGETSは、インストールしておきたいバージョンのPHPを列挙します。私はPHP5系の最新(php5-6)と、PHP7系の最新(php7-1)を書いておきます。
おしまい。
モジュールによる起動は既にできていることとします。このため、FastCGIにて起動する方法を中心に記載します。
ApacheのFCGI Proxyモジュールを用いて、バックエンドのPHPと通信致します。
今回は、以下の設定とします。
起動するバージョンを設定してやります。
# eselect php set fpm php7.1
さらに、普通に設定すると、FPM版PHPの起動シェルは1つしかありません。eselectで指定したバージョンを起動してくれます。ので、指定バージョンを起動するシェルを作ってあげます。
# cd /etc/init.d # cp php-fim php-fpm5.6 # vi php-fpm5.6
さて、このコピーしたphp-fpm5.6の頭にある以下の部分を修正します。
PHP_SLOT="${SVCNAME#php-fpm-}" ↓ PHP_SLOT="php5.6"
eselectで指定するphpのバージョン名ね
/etc/php/fpm-php7.1/fpm.d/www.confを編集します。今回は、UNIXドメインソケットで通信出来るように設定します。以下の項を注意して設定します。
user = nobody # FPM版のPHPの起動ユーザ権限 group = nobody # FPM版のPHPの起動グループ権限 listen = /var/run/php-fpm/www.sock # 通信するポートを指定。ここではwww.sockというUNIXドメインソケットを指定 listen.owner = nobody # 上記ソケットのユーザ listen.group = nobody # 上記ソケットのグループ listen.mode = 0660 # 上記ソケットのアクセス権
特に起動ユーザ、グループ、ソケットのユーザ、グループ、アクセス権は注意して設定してくださいね。Apacheの起動ユーザ権限とソケットのアクセス権が合っていないと、「Permission Denied」と言われます。また、PHP-FPMの起動ユーザ、グループがWebアプリ側のアクセス権と合っていないと、PHP-FPM側は、Webアプリファイルにアクセス出来ないと言われます。apacheのerror_logをよく見ててくださいね~
/etc/php/fpm-php5.6/php-fpm.confを編集します。今回は、UNIXドメインソケットで通信出来るように設定します。以下の項を注意して設定します。
user = nobody # FPM版のPHPの起動ユーザ権限 group = nobody # FPM版のPHPの起動グループ権限 listen = /var/run/php-fpm/www5.6.sock # 通信するポートを指定。ここではwww5.6.sockというUNIXドメインソケットを指定 listen.owner = nobody # 上記ソケットのユーザ listen.group = nobody # 上記ソケットのグループ listen.mode = 0660 # 上記ソケットのアクセス権
7.1のときと設定の注意は変わりませんが、ポイントは、listen=で作るソケットの名称です。バージョン名で分けると。
/etc/apache2/70_mod_php.confを以下のように記載。
<IfDefine PHP> <FilesMatch "\.php$"> SetHandler "proxy:unix:/var/run/php-fpm/www.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> # Set it to handle the files <IfModule mod_mime.c> AddHandler application/x-httpd-php .php .php5 .phtml AddHandler application/x-httpd-php-source .phps </IfModule> DirectoryIndex index.php index.phtml </IfDefine>
起動オプションにPHPが指定されていたら、拡張子.phpにマッチするファイルは、PHP-FPMのソケットに渡す、というエントリーです。
ApacheとPHP-FPMを再起動します。
# /etc/init.d/apache2 restart # /etc/init.d/php-fpm restart # /etc/init.d/php-fpm5.6 restart
と、言うことで、各Webアプリは、ディレクトリで別れて格納されいると仮定します。PHP5.6で動かしたいWebアプリが格納されているディレクトリのトップに、.htaccessを置き、以下の内容を追記します。
<IfDefine PHP> <FilesMatch "\.php$"> SetHandler "proxy:unix:/var/run/php-fpm/www5.6.sock|fcgi://localhost" </FilesMatch> DirectoryIndex index.php index.phtml </IfDefine>
.htaccessは、置かれたディレクトリ配下のアクセス条件に上書きされるので、このエントリーがある.htaccessがあるWebアプリはwww5.6.sockで通信される。PHP5.6で動く、という仕掛け。
もうおわかりかと思いますが。起動シェルをコピーして、ソケット名を分けていけば、いくつでもPHPが起動できると言うわけですね。
これで、PHPバージョンでアプリが動かなくなる悪夢から解放されそうです♪
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